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【玉本 英子】
視点を持ち 中東地域を見る

―なぜ、ジャーナリストを職業に?
玉本
 もともとは、短大を卒業してグラフィックデザイナーをやっていました。自分が作ったチラシが掲示されているのを見て、感動して目を潤ませているような、そんな女の子だったのです。きっかけは、93年に見たテレビの小さなニュースでした。ドイツで、一人のクルド人がガソリンを頭からかぶって火をつけたのです。当時はバブルの後期、日本は明るい時代でした。こんな時代に「ガソリンをかぶってまで抗議したいこととは何なのか」を知りたくなったのです。

―どのように行動したのですか。
玉本
 休暇をとり、オランダのクルド人が集まるカフェに行きました。その時、偶然にも扉が開き、そこに全身大やけどの男性が入ってきました。日本のテレビで見た人でした。そして、私にこう言いました。「僕の生まれた場所に行けば、なぜこんなことをしたのか分かるよ」と。私はトルコへ向かいました。

―ジャーナリストとして取材を?
玉本
 当時はジャーナリストとか、そんな意識はなかったのです。ただ、身分を聞かれれば、フォトグラファーと名乗りました。一応シャッターを切れるというレベルでしたが(笑)。当時、クルド人は抑圧され、独自の言語であるクルド語を公の場で話すこともできなかった。そのため権利を要求するゲリラ闘争が活発化していました。私は一人の、爪が真っ黒に焦げた市民に会いました。ゲリラ活動に協力した疑いで拷問にかけられたのです。日本人はここで起こっている現実を知るべきだと痛感しました。

―ジャーナリズムとは何でしょうか。
玉本
 それは「視点を持つこと」です。報道は事実を記録するメモだけでは、ダメだと思います。この事実を通して、何を伝えたいのかという視点を持てるかが重要です。最初は先輩方に記事を見てもらっても「これで、君は何を伝えたいの」と厳しく突っ込まれることがありました。私は紛争地帯で、様々な人々を取材してきました。その中で、加害者と被害者は簡単に分けられるものではないということが見えてきました。今日の被害者が、明日の加害者になることは、少なくありません。

―危険な地域へ行くのは、怖くないのですか。
玉本
 私は向こうに友達がたくさんいるんですよ(笑)。学校の先生や、公務員や、向こうで普通に暮らしている人々です。彼らの生活が少しでもよくなるために、私も協力したい。空爆を受けるシリアの友人が話してくれた言葉で印象に残ったことがあります。「6年前は自分たちがこんなことになるなんて思いもよらなかったよ」。その言葉は日本人である私たちに当てはまらないとも限らないのです。

―どうすれば中東の状況はよくなりますか。
玉本
 なぜ、今こんなことになっているのか。それは国際社会が彼らについて無関心だったからです。イラクやシリアの問題が複雑なのは確かですが、これまで取材してきて思ったのは、「戦争は一度転がると、止めることはできない」、報復は連鎖し続ける、ということです。戦争は起こる前に止めなければいけない。そのためには関心を失ってはいけないのです。

 

[ Episode ]

イラク戦争最中。装甲車に乗って取材先に向かっていた時、車窓から平和の象徴である鳩が二羽、飛んでいるのが、見えたのだそうです。「平和の鳩だ」と嬉しくなった玉本さんが、思わず空にカメラを構えた瞬間、道路の仕掛け爆弾が爆発した。その映像は、生々しい戦争の記録として、日本のニュース番組でも報道されました。



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玉本 英子

アジアプレス記者。イラク、シリア、トルコなど中東地域を中心に取材を続け、
テレビ、新聞やネットニュースなどを通じて伝えている。
現在、毎日新聞の大阪版、京都版にて「漆黒を照らす」を連載中。

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