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【WCSコンゴ共和国 西原 智明】
遠いアフリカのことを身近なこととして考えてみる
なぜ、ピグミー族は必要なんですか?

 「なぜ、ピグミー族のことをテーマに話すのですか?」大阪のカフェで西原さんが講演をした時、主催者のオーナーがいぶかしんだ。オーナーは大阪にある下町のカフェに来るお客さまと、遠いアフリカで暮らすピグミー族は「まるで関係がない」と考えたからだ。多くの人にとって今【森林伐採が進んでいる】、【絶滅危惧種がいる】、【民族の文化が消滅する】ということは、まるで関係のない話に思える。
 国際野生生物保全NGOのコンゴ共和国支部で働く西原智昭さんは、その漠然とした無関心を警告する。「この地球は、すべての関係は繋がっています。ですから、ひとつ損なわれると全体が崩れるのです」。

 実は、アフリカで起こっていることは、私たちと強い関わりがある。例えばあなたの実家の箪笥の奥に眠る印鑑は、象牙細工ではないだろうか?高度成長期時代、日本で象牙の需要が増え、アフリカで暮らしていたゾウが乱獲された。そのため良質な象牙を持つマルミミゾウは数が少なくなり、危機に瀕している。今でこそ『ワシントン条約』により、規制の対象となったが、その結果は密猟の増加という結果に変わった。密猟はなぜ終わらないのか。それは消費者の意識と関係している。文房具屋にある象牙の印鑑を見てほしい、それが正規のルートをたどって入ってきたものだという証明書はない。もし、それを証明するなら、あなたは積み上げられた書類の束と格闘するはめになる。消費者の意識が高ければ、今のシステムに首をかしげることになるだろう。

 象牙は日本の他の分野にも使われている。例えば伝統芸能の世界がそのひとつだ。三味線のバチ、琴の爪などは象牙でできている。西原さんはこう語る。「日本の伝統音楽を残すことは重要です。ですが、もしゾウがいなくなってしまえば、その音も同時にこの地上から消えるのです。伝統音楽の音色とマルミミゾウという種の保全、これが密接に関わっているということを知ってほしいのです。お互い保全の道を模索できると思います」。

 なぜ地球上の生命が譲り合わねばならないのか。「私は今、ピグミー族と現地の農耕民族と両方仕事をしています。農耕民族は管理職や研究職として優秀です。一方でピグミー族がいなければジャングルの中に入って仕事をすることは困難です。彼らだけの智恵や彼らだけの嗅覚があるのです。彼らの智恵は、地球の財産です。もし、それが損なわれると日本人もまわりまわって困るのです。種が消えてしまえば、本来あるはずだったすばらしい生態系が損なわれていることに、私たちは気づくことができません。」西原さんの説明を聴いて、カフェのオーナーは大きく頷かれたということです。

※昨今「ピグミー」は蔑称扱いされるが、本原稿では便宜上彼らを「ピグミー」と表記している。

 

[ WCSコンゴ共和国 自然環境技術顧問 西原 智昭 ]

1989年から25年以上、コンゴ共和国やガボンなどアフリカ中央部熱帯林地域にて、野生生物の研究調査、国立公園管理、熱帯林・生物多様性保全に従事。
国際保全NGOであるWCS(Wildlife Conservation Society;ニューヨークに本部)のコンゴ共和国支部・自然環境保全技術顧問。NPO法人アフリカ日本協議会・理事。京都大学理学部人類進化論研究室出身、理学博士。現在の最大の関心事は、人類による自然界・野生生物利用と人類の文化遺産の維持とのバランスに向けた方途や、先住民族の今後のあり方への模索。

 

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