インタビューマガジン『B.S.TIMES』。国内外のビジネスリーダーや文化人を専属の芸能レポーターが訪問して取材。隔月出版にて、フリーペーパーとWEB、Kindleにてリリースしています。

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11号紹介

【ウィズアウトボーダー】
そこに患者がいるから。そこにいるから行く。

―医療困窮者の現状を教えてください。
岩田
 私たちが出向く発展途上国では、まるで「命も金次第」といったところがあり、治療を受けられない人があふれています。貧しい国に限ったことではなく、例えばアメリカなど、皆が健康保険を持っていない国では、先進国であっても医療困窮者が存在します。

―印象に残っている患者はいますか。
岩田(宏)
 プノンペンに診療に来た38歳の女性です。田舎に住み、貧しく、子育てに忙しいといった理由で、症状を放置していました。腫れた顔の下顎にはガンが進行し、もはや手の施しようがありませんでした。現地の医師が彼女に「村に帰るか、寺に行くか」―つまり死に場所を選びなさい、と伝えました。医師不足の場合、助かる可能性に応じて、診療すべき人に優先順位をつけなければならないのです。

―4年前にフリーランスになる選択をなさいましたが、実際に4年が経っていかがですか。
岩田
 フリーという立場に日本での手術も、さらに緊張感をもっています。
岩田(宏) 自由な時間を作れたので、海外に行く回数が増えました。一方で海外での滞在が長くなると日本での収入も減ります。ずっと働きどおしで、休みは何カ月かに一回ほど、日曜日もありません(笑)。

―なぜ、そこまでして活動に身を捧げるのですか。
岩田
 うーん、正直言えば、そこに患者がいるからですね。
岩田(宏) きれいごとではなくただ、目の前に困っている人がいて「私たちが来なければ、この人たちどうなるの?」と・・・。現地の人が夫に対して姿が見えなくなるまで手をあわせる姿を目にすることがあります。そんな光景を見ると、夫にフリーになる決意を聞かされても、妻の私が止める理由はありませんでした。

―今の課題は何ですか。
岩田
 課題だらけです。カンボジアでは人々の、困ったら外国人が助けてくれるという、依存心が強まったように感じます。僕は、医師に技術を教え、国として医療面で自立してほしいと願っていました。ところが技術を身に着けると、外国の金持ち相手の商売をはじめます。日本と大きく異なる感覚です。

―我々は課題にどう向き合えばよいですか。
岩田
 日本人はもっと本当のことを知る責任があると思います。発展途上国支援に意味があるのか考えるべきです。寄付をしているつもりはなくてもODAには税金が使われています。日本は箱モノ支援をよくしますが、病院を立ててもスタッフがおらず、使われない場合も多い。私はそういった支援に疑問があり、組織ではなく、夫婦二人で動いています。でも、私たちのような医療を行う支援に、税金は活用されません。税金は無駄に使われ、憤りを感じています。

―今、目標としていることは何ですか。
岩田
 海外で教えた医師が育ち、自分たちでなんとかしようと思ってもらうことです。もう一つは日本にベースを置きながら、海外でこれほど仕事をしているドクターは僕以外にいない。だからこそ、医療関係者や一般の人に国内外の医療や支援の現状を知ってもらうことは、僕の役割だと思います。
岩田(宏) 長い年月やってきて無駄にしないで、国として自立してもらえたら嬉しいです。

 

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ウィズアウトボーダー
フリーランス口腔外科医 岩田 雅裕
フリーランス歯科衛生士 岩田 宏美

http://withoutborder.jp/
※講演や寄付の依頼はHPをご覧ください。

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