【株式会社木村建設】
寒さに強い伝統の『木組みの家』
地元北海道・足寄町に根ざし続けて
藤波 寒い北海道で家を造るとなると、他の地域とは違う難しさがありそうですね。
木村 極寒冷地ということで、冬はマイナス25度まで寒くなります。本州のような外と中を緩やかに繋ぐ縁側や自然を取り入れた空間というよりも、高気密、高断熱住宅で外の寒さをしのぐという考えが前提ですね。そのため、シェルターや魔法瓶のような家が北海道の主流となっています。建材については、地元十勝産のカラ松などをこだわって使っています。
藤波 地元に根ざした工務店ということですか。
木村 木村建設としては51年目になります。祖父が創業、父が2代目、そして平成28年度より私が引き継ぎました。足寄町発注の学校や公営住宅等の公共工事を中心に、民間では、住宅・店舗・牛舎や倉庫等も請け負ってきました。私の代になり、公共工事依存型経営からの脱却を目指すということもあり、個人住宅の受注を進めており、このモデルハウス建設を機に、認知度を高めていけたらと考えています。
宮大工の経験を生かした「木造伝統工法」
藤波 このモデルハウスは木村さんの家なんですよね。
木村 はい、自宅兼モデルハウスとして造りました。実験的な要素も含めまして。どんな家にしようかというところから始まって、出来上がるまで本当に楽しかったです。お客さまの気持ちにもっと寄り添える家づくりのためにもいい経験になりました。
藤波 まるで日本のお城のようですよね。梁や大黒柱に存在感があって、天井が高くて解放感もある。寺社仏閣の様式が見受けられますね。
木村 京都の方で5年間、社寺建築の宮大工の親方の元で修業させていただいた経験がありまして。修業から帰ってきた時から、このモデルハウスを造りたいと思っていたんです。
藤波 宮大工の経験があるからこそですね。
木村 この家は「木造伝統工法」という工法で造っています。戦前の、大工の棟梁が頭の中で設計図を書いて作る大工技術を取り入れた伝統工法で、寒冷地仕様の工法にしています。伝統的な工法には可変性があって、その気になれば、100年後に解体・移築等が可能です。組んだ順序と逆に解体することで、移築できるのです。この工法の採用は、後世に大工技術を残す意味でも重要な取り組みです。
「あなたらしさ」が感じられる住まいを全道に
藤波 36歳の木村さんからすると、この業界内では若い方ですよね?
木村 若いと思います。今、在籍する大工が50代以上なんです。私の世代にも、職人・設計に携わってもらえるよう、発信しながら、家を造っていきたいです。
藤波 このモデルハウスを皮切りに、どんどん広まるといいですね。
木村 そうですね。北海道でこういう家ってまだ珍しいので、知って頂きたいです。伝統的な工法で、「安全、安心、長持ち」といった特徴を持つ家でありながら、お客さまと話し合ってライフスタイルに寄り添った現代的な間取りにもできます。足寄がメインで、帯広や十勝などの地域にも広げていって、ゆくゆくは北海道全域まで広げていきたいです。
藤波 応援しています。
[ Column ]
建材は十勝産のエゾ松、カラ松などを用い、それぞれの性質に合った使い方をする。地元産の木材は寒さにも強い。松の種類によって、その性質は違う。建具に使われるエゾ松は反ることがない一方で、カラ松は耐久性があり柱や梁に向いているという特徴を持つ。素材の性質を見抜き、使いこなすのが職人の技だ。
[ Dragon Point ]
お城のような外観、内装に加えて、度肝を抜かれたのがナラの梁。これは築60年の蔵を解体して出てきたそう!一本木で7.2mの木材は手に入りにくいそう。宮大工のこだわりが見える。
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株式会社木村建設
代表取締役 木村 祥悟
北海道足寄郡足寄町旭町4-24
TEL. 0156-25-2529 FAX. 0156-25-2189
http://www.kimurakensetsu1966.com/
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