【アパグループ】
逆境こそ光輝ある機会なり 新都市型ホテルの理念と戦略
逆境こそ光輝ある機会なり
―元谷代表の経営の基礎となっている部分はズバリ何でしょう。
元谷 幼い頃よりとにかく本や新聞を読む習慣をつけ、知識をため込んだことが良かったのだと思います。小学生の頃から、古本回収、古鉄回収、八百屋のアルバイトなどをして、自分でお金を稼いでいました。「新聞を読みなさい。字面ではなく、物事の対局を読み、理解できるようになりなさい」というのが父の教えでした。『現代用語の基礎知識』という本を買ってきて、分からない用語を調べているうちに、用語集そのものを読みはじめました。
―幼少期から、ずいぶんと努力なさったんですね。
元谷 中学の卒業文集で書いたのが「逆境こそ光輝ある機会なり」という一言でした。逆境が人を育てる、苦しい時こそ光り輝く時だというのが、その頃、私が考えていたことで、今でも私の経営理念です。
―最初から事業家になるつもりでしたか?
元谷 事業をするために何をしたら良いか考えた時に、会社の血液ともいえるお金のこと、金融の勉強が必要でした。奨学金で高校に行き、慶應義塾大学経済学部通信教育部に入ると同時に、地元の信用金庫に就職。大学で理論を学びながら、銀行でお金の流れ、経済の動きを実践の中で学びました。
「新都市型ホテル」がライフスタイルを変える
―ホテル事業に注目したきっかけは?
元谷 金融機関にいると取引先のあらゆる業種を見ることができますが、その中でも成長性が著しく、人の努力の目標物を提供する産業である住宅産業に携わりたいと思いました。最初は戸建ての注文住宅を扱い、そこから利益と効率を考えて、建売住宅、さらにはマンションに目をつけました。居住性を考慮したとき、住宅産業の最先端にあるのが、ホテルでした。事業を考える時に、同業他社ではなく、先を行く業界・業種に学ぶのが一番早い。住宅のイメ―ジは自動車業界から、ホテルのイメージは航空業界から、学びました。
―『新都市型ホテル』と銘打ってますが。
元谷 ビジネスもレジャーも対象とした新しいスタイルのホテルです。まずは、平日の利用が最も多いビジネスマンをターゲットにしました。彼らは豪華な装飾や、ポーターのような一流サービスは求めていない。大切なのは時間≠ナす。駅から3分以内の立地で、手間の要らない前精算システムをつくりました。仕事ができるよう室内照明を明るくし、ベッドは大きくして、狭い客室ながら快適な空間と、真に必要とされるサービスを提供したのです。
世界のAPAホテルに向けて
―ひとつひとつの工夫が高利益経営を実現しているのですね。
元谷 学んだ理論と実践が生きています。これまで一度の赤字も、一人のリストラもしていません。
―2020年の東京オリンピックに向けてホテルが増えています。
元谷 オリンピックのあとは必ずオーバーホテル現象となり、部屋の単価が下がる。一見、厳しい状況に思えますが、その時が企業拡大のM&Aのチャンスだと思っています。
―海外展開も加速しますか。
元谷 海外戦略はブランドアップのために行っています。儲けではなくそこにホテルがあることで日本におけるブランドアップになる。アメリカ・ニュージャージーでの記者発表の際にも述べましたが、いずれ世界は新都市型ホテルに収斂されるはずです。
[ 略 歴 ]
石川県小松市出身
慶応義塾大学経済学部通信教育部に入学するとともに
小松信用金庫(現・北陸信用金庫)に入庫
1971年4月 アパ株式会社の前身である、信金開発株式会社を設立
1984年12月 アパホテル第一号店アパホテル〈金沢片町〉オープン
2002年5月 アパ赤坂見附ビル取得、グループ本社・アパホテル本社を移転
2020年3月末までに10万室展開を目指す
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アパグループ
代表 元谷 外志雄
東京都港区赤坂3-2-3 アパ赤坂見附ビル2F
https://www.apa.co.jp/
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