ツタヤ図書館行きました
文●仲井美和

◆注目のスポットを訪れてみた。
まず正面玄関を入って驚いたのが図書館とは思えない、最新号の雑誌が販売用として平積みされた風景。従来の図書館の貸し出しスペースと販売スペースの間に区切りがなく、よくよく見ると販売用は「白」、貸出用は「黒」のボードで区分されているのが分かる。利用客は多いが、学生が机のスペースを長時間に渡って占領している従来の図書館の風景はなく、代わりにスターバックスコーヒーのカフェスペースが広がる。立ち読み客に占領され、本を手に取りにくいといったストレスもない。高級感のある図書館という重厚な雰囲気を兼ね備えており、ヨーロッパのハイセンスな書店といった印象を持った。
◆地域の人や利用者に実際に話を聞いてみた。
ほぼ口を揃えて「できて良かった」「快適でよく利用している」と話す。CCCへ委託してから、利用者は三倍強に増加、地域の経済効果は約二十億円にのぼる。しかし、ネット上では「貸し出し用古書を関連会社から購入していた」、「イメージにそぐわない本を販売していた」など問題点のオンパレード。市民の税金で賄われる行政機関と民間が新しいことを試みるときの難しさが浮き彫りになった格好だ。
◆物事に関して目新しいことを起こせば、反対やマイナス意見はある。
まさにその一例といえる。トライアンドエラーは常に必要であり、顧客や利用者の声に耳を傾けながら修正していくことでより良いものに昇華される。この施設の一件で武雄市という名前は知れ渡ることになり、全国の行政機関が視察に訪れている。地域の「まちおこし」としては大成功。今後の地域活性化の一翼を担うカンフル剤となってもらいたいと願う。
