Reason to Live
「生きることに寄り添う」がんと向き合う看護師
自分も弱かったからこそ
人が生きる意味を見つめる
手塚 がんに寄り添う看護師として注目されていますが、この仕事をするに至る柳澤さんのルーツを教えてください。
柳澤 私は静岡県の海の街に育ちました。病の父は自らの余命を隠して母と結婚し、私の生後、2週間で他界しました。母は憤り、私は人生の多くを祖母に育てられましたが、その祖母も闘病を経て、看取りました。看護師を目指したのは、それらの経験と父の遺したノートに「優しい女性になって」とあったことや伯母が看護師だったことがあります。
手塚 東海大学でがん病棟に勤務した後、外来でもがん病院の立ち上げを勤め、救急・外科・検査といった治療に向き合ってきた専門家でもいらっしゃいますね。
柳澤 はい。そんな中で「治療」はがんという病のごく一部の要素であると感じ、「生きることをどう考えればいいのか」に向き合うようになりました。
手塚 人はどこかで繋がるもの。つらいことも多いですが、それが幸せに変わることもありますね。私は生きることは修行だと思ってるのですが、どれも自分が選んできたものだと思っています。そんな風に考えるとき、柳澤さんの社名にある「Reason to Live(生きる理由)」は印象的ですよね。
柳澤 私も出産するまでは生きる理由が見出せなかった一人でした。これらの経験が、この事業を生みました。がんにおいて直面する「死に対する恐怖」、「決められない状況」、「絶望」も含め、とことんその方の決めた人生に寄り添いたいです。「大事なものはなにか」という答えのないことに対して肯定的に見守り、私も人生に悔いを残さぬようご縁から学びます。
手塚 ありがとうございました。
[ Column ]
昨年2月に立ち上げた『Reason to Live』。余命宣告を受けるなど、進行の進んだがん患者に対して、柳澤さんは「少しでもステキな時間が増えますように」と願う。その事業は悲しみに包まれたものだけではなく、残りの時間をどう生きたいか、夢の実現といった側面も持つ。家族やパートナーには相談できないことを、柳澤さんに打ち明ける人は多い。
[ Point ]
柳澤さんのお話ぶりから、いつも自分のことより人のことを思いながら生きてらっしゃるのが伝わりました。正解のない大変なお仕事ですが、そのときどき、「ありがとう」を贈られることがすべての答えではないかと感じます。
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Reason to Live
がん化学療法看護認定看護師 柳澤 史乃
千葉県浦安市明海
浦安マリナイースト21
TEL.080-8911-4714
https://www.reason-to-live.org
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