株式会社大賀薬局
福岡発、薬を「減らす」薬剤師ヒーローが「薬育」を伝えます
老舗の薬局店だから
新しい役割を発信できる
吉岡 九州地域では、コーポレート・ヒーロー『オーガマン』で知られる大賀薬局さん。ホームページも情報たっぷりで、非常に独創的な薬局ですね。
大賀 当薬局は、1902年に創業し、今年で122年目を迎える老舗です。代々、家業として続いており、私は5代目社長にあたります。福岡市に拠点を持ち、まずは地域からカバーしようと、近隣へと店舗を拡大しました。街のクリニックと連携した薬局型や、ドラッグストア型など様々なスタイルがあるのも当チェーンの強み。福岡の他に熊本、大分、鹿児島、沖縄にも展開しています。全調剤店においては患者さまの処方箋データを、一元管理しています。
吉岡 どこの店舗へ行っても、自分の服薬が分かるのはいいですね。
大賀 国内の66歳以上の方は、平均して3・3箇所の病院に通院し、そこで3つの処方箋が出ていると仮定すれば、一人10種類ぐらいの薬を飲んでいる計算になります。
吉岡 大賀薬局のキャッチフレーズである「無駄な薬を減らす」が印象的です。
大賀 1960年代は、病院が薬で利益の9割を確保できた時代でした。そこで、薬漬け医療を防ごうと院外処方制度が始まり、薬局が生まれました。ですから薬局の本懐は、やはり薬を減らすことです。当然、薬を減らすと企業の利益は減りますが、だからこそ、当社は自社だけでなく全国に向けて発信したいのです。
吉岡 すばらしい志ですね。
九州から全国へバズる
福岡で80パーセント視野
吉岡 それがヒーローの「オーガマン」に繋がるのですよね。九州ではテレビCMも流れ、知らない子どもはいないそうですね。
大賀 ヒーローショーは、もともと子どもたちの『薬育』のために始めました。ちなみに『薬育』というのも私が作った造語です。「オーガマン」については、YouTubeでバズりました。その後、SNSを作ったところ、トレンドワードに入るなどして拡散されました。
吉岡 社内ではどのような反応でしたか。
大賀 社長就任後すぐ、「ヒーロをやる」と宣言した時、役員は全員が反対しました(笑)。今は、ヒーローのおかげでお客さまは当薬局に好意を持ってくださり、結果として共感してくれるドクターも増えました。
吉岡 戦隊ものの番組もあるそうですね。
大賀 九州のローカルヒーローを集めた番組『ドゲンジャーズ』で、九州朝日放送にて日曜朝、10時〜5シーズンにわたり放映しています。イベントとしてのヒーローショーも展開。グッズとしてフィギュアからリュックやTシャツも展開。オーガマンの認知度は福岡エリアでシェアは33%。子ども達は当薬局の看板を見ると「オーガマンいるかな?」と覗くほど。後継者問題に悩む薬局の買収相談が増え、現在、福岡市での大賀薬局の認知度は80%と格段に上がってきています。
ヒーローショーの地域連携
新たなビジネスモデル
吉岡 『オーガマン』や『ドゲンジャーズ』は福岡の文化にもなっているようですね。
大賀 実は、『ドゲンジャーズ』は韓国の全土で流れ、シーズン4を迎えており、韓国人観光客が聖地巡礼に訪れます。当社のビルのまわりにもお越しくださるのですが、本社前のオリジナル自販機では私の声で「薬飲んで寝ろ」という『オーガマン』のボイスが聞けます。
吉岡 大賀代表自身も発信力を蓄えていらっしゃるのではないですか。
大賀 おかげで、『オーガマン』のSNSフォロワーは5万人超え。ここでの発信力が増えれば、将来的に日本全体に「薬局の役割は、薬を減らすことだ」と発信できます。
吉岡 『ドゲンジャーズ』は九州にある多数の重要な企業が関わっていますね。
大賀 番組はプロダクトプレイスメント型といって映像作品の中に企業の商品やサービスを露出させる手法でスポンサー料をいただき、運営しています。そこには現在、130社の企業連合があります。これらを集結させて、グッズを作り、イベントをやるというのがひとつのビジネスモデルです。当社はドラッグストアの全国チェーンと戦う必要があります。地域企業と横の連携を作り、排他的経済水域を形成します。
吉岡 これは地域のビジネスを守る熱い取り組みでもあるのですね。
大賀 一例として、当社は九州のピザチェーンとして知られる『ピザクック』とコラボししています。これはピザ配達員が空き時間に、薬を運送するという薬局間の在庫適正化の施策ですが、ピザ店が薬を運ぶのはおそらく九州だけです。当社の本拠地は福岡。こういった差別化で地域経済を強くし、地元に元気を与えていきたいです。
吉岡 他の地域でも学ぶものがあります。
[ Column ]
後継者問題に悩む薬局から多数の相談が寄せられる大賀薬局。買収後は看板とシステムを入れ替えるが、最も結果が出たところで、2年で売上額が1.4倍、利益額は4倍の例もあったそうだ。ヒーローショーのイベントを打つことで、開業後の集客に困ることもなく、事業継承やシェア拡大が加速化している。
[ Point ]
薬を減らす活動をしている薬局で、その理念が立派ですね。一方で手法は遊び心にあふれており、それが子どもたちに伝わり、大人にも愛される薬局になっているのではないかと感じました。『ドゲンジャーズ』にはこれからの活躍を期待しています。
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株式会社大賀薬局
代表取締役 大賀 崇浩
福岡県福岡市博多区博多駅前3-9-1
TEL.092-483-8777
https://ohga-ph.com
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