ステータシー株式会社
ヴィーガンレザー製造とスリムさ追求
日本製品を世界のブランドに

クラファンで話題の
レザークラフト企業
原 クラウドファンディングで最も注目されるレザークラフトの会社です。この仕事をはじめてまだ10年だそうですね。
田中 はい、以前は自動車関連の企業に18年間勤め、2015年に副業として受注制作を始めました。私は子どもの頃から手先が器用でしたが、あるとき、妻にレザークラフトのキーケースを手作りし、プレゼントしたのがきっかけで、この業界に入りました。
原 コンパクトな革製品は国内外で愛され、飛躍的な成長を遂げました。
田中 2021年に創業した後、クラウドファンディングで大きく伸び、本業での稼ぎを超えたのでこちらを本業にしました。
原 『コーヒーレザー』というオリジナルの合皮も話題ですがどういったものですか。
田中 2年前から始まった当社の特許技術素材で、廃棄されるコーヒーのカスで作った合皮になります。合成皮革というと基本的に石油で作られますが、そこに30%ほどの微粉砕したコーヒーカスを混ぜることで、石油の使用料とコーヒー廃棄の両方を減らせます。今、コーヒーのカスはメタンガスを発生させることで破棄が問題視されていますが、私自身もコーヒーが好きで、社会課題に貢献できればと。現在は、日本だけでなく、中国や台湾でも特許を出願中です。
原 消臭・抗菌効果が期待できるそうですね。
田中 でき立てはほのかにコーヒーの香りがするのですよ。スリッパなど匂いが気になるものに使うと良いですし、カバンや財布などさまざまなものに使用しています。
新時代を切り拓く
アップサイクルレザー
原 エコの観点からも注目です。
田中 全国的なコーヒーチェーン店では、その店で破棄された豆を使って合皮を作り、それを店のスツールに使うといった活動をしています。
原 もともとはレザーが好きとのことで、本革を使っていたのですか。
田中 そうですね。しかし、ヨーロッパでは動物愛護の観点から本革の使用を制限する風潮が出ています。一方、海外では林檎やサボテンを再利用したレザーが出回っていました。日本では当時、こういったアップサイクルを使った合皮を作っている企業がなかったので、ビジネスチャンスがあると感じたのです。
原 着眼点が良いですね。クラウドファンディングで爆発した最小長財布も目の付け所がすばらしいです。薄く、小さいのに大容量という点が優れています。
田中 この『il modo ZIP(イルモードジップ)』はスリムさを追求したものでした。キャッシュレス時代に合わせた小さな長財布かつ、日本の「紙幣を折りたくない」という文化に応えました。クラファンの部門別で歴代一位となる8400万円分が売れました。台湾でもクラファンを始めたところ、9400万円を集めています。
革新的デザインと機能性
海外市場に積極進出
原 業界に入ってまもないとき、参考にしたものはありますか。
田中 職人目線で言うと、ハイブランドの商品は優れています。あとは本で読んで素材や製法の知識を得ました。
原 機能性の高さもウリですよね。
田中 財布はカードと小銭が重ならないように工夫しました。スリムなのでジャケットなどに入れてもかさばらずに使用できます。私の中でモノのサイズを切り詰めたい思いがあるのです。小さい財布は比較的多く出回っていますが、実は使い勝手の良いコンパクトさや薄さを求めるのは難しい。当社のシリーズには、ミニ財布としての希望も兼ね備えたキーケースもあります。
原 これまで何が一番苦労されましたか。
田中 会社員時代は住宅ローンのために生きているという感じがあり、振り返ると、この時代が一番苦労しました。私は妻にキーケースをプレゼントしたとき、自分のやりたいことが明確に見えたのです。
原 海外にも積極的に進出しています。
田中 昨年、台湾に会社を設立し、今年は香港でクラウドファンディングを開催。来年はインドへの事業進出を予定しています。
原 社名の『ステータシー』にはどのような思いがあるのですか。
田中 いつか、当社のブランドが世界に広がり、日本製の革製品にステータスを感じてもらいたいという思いで名付けました。
原 すでに世界に展開が広がる中、今後はどういった目標をお持ちですか。
田中 国内ではより良い商品ラインナップを充実させます。また、現在のEC展開から実店舗への進出も予定しています。海外については、当社は「世界に日本のブランドを認知する」をミッションにしており、海の向こうへ広げていきたいです。
原 多くの方に知ってもらえますよう。


[ Column ]
2024年12月25日から、有楽町のマルイでPOPUPを開催し、『il modo』シリーズの他に限定アイテムも販売された。商品のスリムさが最大の魅力とあって、これまで「どこで実物を見られますか」といった問い合わせが多く寄せられており、それに応えた。今後は、全国の小売店で目にする日も近いだろう。
[ Point ]
手にとった財布が、非常にコンパクトで驚きました。また、アップサイクル素材としては、コーヒー以外の素材についても合皮にできる可能性があるそうです。こういった日本のブランドが海外に出ることで、環境への取り組みも知っていただけますね。
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ステータシー株式会社
代表取締役 田中 比呂達
滋賀県大津市木下町17-12
TEL.077-572-6564
https://statusy.jp
https://coffee-leather.com
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