不登校/こどもと大人の漢方・心療内科
出雲いいじまクリニック
不登校を心の問題で終わらせない
専門知識による正しい治療を

内科医から児童精神科領域
我が子の不登校も転機に
藤波 飯島院長は総合診療医としてご活躍されていたと伺いました。なぜ現在のような不登校の子どもたちの診療を専門にしたのですか。
飯島 もともと私は地域医療や総合診療に携わっていました。そこでは「どこも悪くないはずなのに体がだるい、動けない」といった、いわゆる不定愁訴(ふていしゅうそ)を抱える患者さんを診ることが多かったのです。内科的な検査では異常が見つからないが、漢方や心療内科的なアプローチで改善するケースも多い。そうした診療を続けていくと、少しずつ不登校のお子さんが「お腹が痛い」「頭が痛い」と来院するケースが増えてきました。
藤波 体の不調を訴えて来るけれど、背景には学校に行けない悩みがあったわけですね。
飯島 そうです。最初は専門の病院へ繋ぐ役割を果たしていたのですが、不登校の子どもたちを自分で診たほうが良いと気づきました。
藤波 飯島院長のお子さんも不登校になられたことがあると聞きました。
飯島 はい。ですから、決して他人事ではなかったですね。娘も含めた多くの子どもたちを診療していく中で、うつ病などの治療可能な精神疾患≠熨スいことが分かってきました。ただ、子どもに使える薬は専門的な資格がないと処方が難しかったため、根本的な治療の手立てが限られてしまいます。総合診療医として、限界を感じていました。
藤波 その思いが今につながっているんですね。
飯島 はい。そうした事情から思い切って精神科専門医や指定医の資格を取得するために、45歳から大学病院で研修医をしながらクリニックを経営するという破天荒な決断をしまして、現在も研修中です。
藤波 情熱をもって取り組まれたのですね。
正しい診断を知る重要性
親も子も自分を責めないで
藤波 先生は『不登校は病気?〜医師の診断が子供と家族を救う〜(健康・医療のフロントライン)』という書籍も出版されていますね。一般的には気持ちの問題や親の育て方と言われがちな気がしますが、実際は違うのでしょうか。
飯島 クリニックに来る段階のお子さんに限って言えば、9割以上は何らかの精神疾患、つまり病気≠抱えています。大人が会社に行けなくなったり、朝起きられなくなったりすれば「うつ病ではないか」と病院に行きますよね。でも、子どもの場合、怠けや家庭の問題といった心理的な話にすり替えられてしまうのです。加えて、子どもは「気分が落ち込む」「不安だ」という状態を言い表せません。だから大人が「どうして学校に行けないの」と理由を聞いても、答えようがないのです。
藤波 理由を聞くこと自体が、子どもを追い詰めてしまうこともあるでしょうね。
飯島 ええ。親御さんも「自分の育て方が悪かったのではないか」と悩み、子どもは「自分はダメな人間だ」と自己評価を下げてしまいます。そこで私が「これはうつ病ですよ」と診断することで、親子ともに「自分が悪かったわけではないんだ」と救われるのです。まずは親御さんや祖父祖母も含めた家庭環境を整える家族療法を行い、その上で子どもに合った適切な薬物療法を進めていくことが治療の基本です。
変わりゆく時代に合わせて
不登校の治療を発展させる
藤波 現代の不登校の背景には、社会構造や働き方の変化も関係しているのでしょうか。
飯島 大いにありますね。私は以前、農村や漁村で地域医療に携わっていましたが、そこではADHDのような多動傾向がある人は朝から晩まで動ける働き者≠ニして重宝されていました。また、ASDのようなこだわりが強く頑固な気質も、伝統工芸などの世界では気難しいけれど腕のいい職人≠ニして尊敬され、適応できていたのです。現代は、そうした特性を持つ子どもは、協調性がないと受け取られやすく、不登校が障がい≠ニして顕在化しやすくなりました。これらの特性自体は生まれ持った性質なので完治はしませんが、薬や環境調整によって、その性質を持ったまま社会生活に適応できるようにすることは可能なんです。
藤波 不登校の原因を正しく知った上で適切な治療を進めることが重要ですね。最後に、今後の展望があれば教えて下さい。
飯島 子どもの精神疾患を診られる医師は、全国的に見ても極めて少ないのが現状です。子どもは薬の副作用が出やすいため、高度なスキルと慎重さが必要ですが、欧米で使われている安全な薬が日本では認可されていないなどの課題もあります。子どもたちを救える医師や医療体制を増やしていきたいと考えています。
藤波 先生のような存在が、悩める親子にとっての光になると確信しました。本日は貴重なお話をありがとうございました。

[ Column ]
家族をチームとして再構築する視点が特徴的である。不登校になると、祖父母が「甘やかすな」と批判するなど、家庭内が分断されてしまうケースも少なくない。そうした場合、飯島院長は祖父母も含めて診察室に招き、「これは病気であり、励ますことが逆効果になる」と医学的に説明する。子どもを責める構図を断ち切り、家族全体で支える環境を整えていく姿勢が、不登校治療の根幹である。
[ Point ]
取材で印象的だったのは、「まずは体の不調として捉えてみる」という視点です。例えばスマホによる睡眠リズムの乱れも、医学的には立派な治療対象となり得ます。親だけで抱え込まず、「眠れていないから病院へ行こう」と気軽に医療を頼ることが、解決への第一歩になるのだと学びました。
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不登校/こどもと大人の漢方・心療内科
出雲いいじまクリニック
院長/医師・公認心理師 飯島慶郎
島根県出雲市大社町杵築東454
TEL.0853-25-8724
https://sites.google.com/view/izumo-iijima-clinic
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