医療法人社団アンフィニ若宮中央医院
痛みに向き合う『かかりつけ医』
週4日の夜間診療で地域を支える

想定外の医院の継承開業
専門を加え診療内容を拡充
原 まず、先生が医師を志したきっかけから教えてください。
横山 高校生の頃「脳」という臓器に興味を持ち、医学部・脳神経外科を選びました。大学までは関東でしたが、卒業後10年余り京都大学附属病院を中心として、滋賀県や千葉、埼玉で勤務しました。
原 整形外科もご専門なのですね。
横山 15年ほど脳神経外科医としてキャリアを積み、一定のスキルを身につけた後、専門の脊椎脊髄疾患を軸に、整形外科、リハビリテーション、そして内科へと診療の幅を広げました。
原 こちらを引き継ぐきっかけは。
横山 2022年頃、当院に週1回の非常勤医師として勤務していたのですが、年齢的にご勇退を考えていた前院長から「継いでほしい」とお話をいただきました。前院長のお子さんたちは別の場所で医師をしているため、跡取りではない私に声が掛かったのだと思います。
原 大学病院で勤めた後、クリニックを受け継ぐことに戸惑いはありませんでしたか。
横山 20年間、手術一本でやってきたので、自分が毎日内科診療をするイメージが湧きませんでした。そこで週に1度の前院長の診察担当日には、他院で手術を担当し、バランスを取っています。また、従来の内科・皮膚科を診療しながらも、専門である脳神経外科とリハビリテーション科を主要診療科に変更しました。
地域医療を充実させる使命
患者の「今、痛い!」からの解放
原 前院からの方針を大切になさっています。一方で、発展させたことはありますか。
横山 引き継いだ「かかりつけ医」の役割にはこだわっています。かかりつけ医には大きく二つの役割があると考えています。一つは、地域の皆さんが困った際に最初に相談に乗り、当院で迅速に処置し、専門的な治療が必要な場合は基幹病院へおつなぎする役割です。そのためには、まず来院していただかなければなりません。昼間お仕事をされている方や夜中に体調を崩された方のために、夜9時まで診療を延長しました。夜間診療は開院当初は週1日でしたが、段階的に増やし、現在は週4日実施しています。発熱外来も充実させ、現在では専用ブースで6人同時に診療や検査が可能になっています。
原 夜間の診療は、お子さまがいるご家庭も助かりますね。そして、かかりつけ医のもう一つの役割は何でしょうか。
横山 専門治療が落ち着いた後、自宅に戻られた方を見守る役割です。当院のある若宮地区は50年以上前にできた住宅街です。その頃からお住まいの方々には、年齢的、あるいは疾患によって体が不自由な方も多くおられます。近くに整形外科ができて嬉しいという声をいただきましたが、病院へ通うこと自体がつらい方もいるため、訪問診療を始めました。
原 環境づくりと、新たに掲げた整形外科とリハビリテーション科の本領発揮ですね。
横山 他にも、千葉県内房地域では少ないペインクリニック内科を開設し、患者さんが「今」抱えている切実な痛みに即時対応しています。腰痛診療では整形外科と脳神経外科の両面からのアプローチが重要ですが、当院はどちらも専門ですので、そうした意味でも県内で高い評価をいただいております。
地域医療のモデルケースへ
潜在的な人的リソース活用
原 人材不足にはどう対応していますか。
横山 スタッフの勤務時間を一律に「何時から何時まで週何日」と決めていません。働き方の多様性を尊重し、例えば「子どもがいるので午前中しか働けない」とか「Wワークで夜働きたい」といった様々な事情に応じています。
原 拘束時間を理由に働けない有資格者が能力を発揮できる仕組みですね。
横山 例えば午後4時から9時までの勤務を半日の出勤と考え、他の時間帯や1日フル勤務と加算して、週3日分に達すると常勤扱いにします。事務職員の1人は、午前に勤務して午後から看護学校へ行き、また夜間に戻って勤務するという働き方をしています。
原 患者とスタッフ、両方のニーズに合わせていて素晴らしいですね。働きやすい職場はスタッフの定着につながり、結果的に患者のためにもなります。診療内容の拡充、夜間診療、訪問診療と充実され、次の構想はいかがですか。
横山 当院は郊外型医院のモデルケースを目指しています。地方の医療崩壊が不安視されていますが、今後は当院を中心に施設群全体で地域の「かかりつけ」機能を担う体制をつくりたい。訪問看護ステーション、デイサービスセンター、リハビリテーションセンターを開設し、地方医療の維持・発展に寄与したい。そのノウハウを他地域へ展開し、地域ごとのニーズに合わせて移植していくのが理想です。
原 今後の取り組みにも注目しています。

[ Column ]
フランス語で「無限」を意味する法人名『アンフィニ』。可能性には限りがなく、求められるものに合わせて変化しながら応えていく―同院はそんな「可塑性」の思いを込めて名付けられたそうです。開業するつもりのなかった院長が、半世紀にわたり地域医療を支えてきた病院を引き継ぎ、守るだけではなく、限界を決めずに発展を目指す姿勢が表れた名前です。
[ Point ]
私の姉も40代で医療事務を辞め、看護学校へ進みました。このような病院が近くにあれば、仕事を続けながら勉強と両立できたかもしれません。医療の現場は大変な仕事ですが、自由な働き方で業務をシェアする仕組みは、限りある人材を生かす、一つの方法だと納得しました。
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医療法人社団アンフィニ若宮中央医院
理事長 横山 洋平
千葉県市原市若宮3-2-3
TEL.0436-41-8180
https://www.wakamiyachuo-clinic.jp
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