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33号紹介

クージュー株式会社
タリーズコーヒージャパン創業者に聞く
アフターコロナ、飲食店経営の新風景

コロナ禍の飲食業ついて
過酷さを視る


 コロナ禍で飲食業界のダメージが大きいですが、業界としての現状はいかがですか。
松田 厳しいですね。そもそも、日本の飲食業そのものが、全体として生産性が低い傾向にありました。コロナ以前から家賃と人件費の高騰で固定費がかさみ、ひっ迫していたところも多かったのではないかと思います。

 元参議院議員であり、政治家と経営者両方の顔を持っています。飲食店のコロナ支援について、公平性に欠けるとの意見がありますが、見解はいかがですか。
松田 チェーン店にとって不利な状況は実際にあると感じています。拡大当初は火急の支援が必要で、仕方のない面もあったかもしれません。しかし、その後もコロナ禍が継続することは自明だったので、もっと細やかな制度設計を検討する時間はあったはずです。私は支援の対象を決めるうえで、雇用者数に目を向けるべきと考えています。家賃補助については当初、一社あたり最大で月の家賃100万円×6ヶ月分の支援策が発表されましたが、「100万円でなくても10万円で結構です。そのかわり、一社あたりではなく一店舗あたりにして下さい。その方が公平です」と訴え、官邸を含む与野党のリーダー達と対話を重ねてきました。その後二回目の緊急事態宣言の際は、一日6万円×自粛日数×店舗数に変更となり、私に限らず多くの飲食業関係者が訴えてきた形に一歩近づくことが出来たのではないでしょうか。外食産業では雇用の大半をチェーン店など中堅以上の企業が担っていますので、ぜひそういった部分を考えて支援策を出していただきたいと思います。

 緊急事態宣言中は時短要請に応じない企業に罰則規定が出ました。以前は、要請に応じないとしていた企業も従うなど、民主主義が脅かされるのではという懸念もあります。
松田 今回の特別措置法の改正はギリギリのラインで、これ以上は憲法に抵触する恐れがあるでしょう。それよりも、今回私が懸念したのは、支援は不明な点が多いのに対し、罰則規定だけは明瞭だったことです。

タリーズの急成長と
そこに賭けた想いとは


 経営者として、現状をどう認識して乗り切ろうと考えていますか。
松田 今は耐えるしかない時期です。コロナ禍を何とか乗り越える為の施策は徐々に整ってきています。あとは、我々飲食業に携わるものたちが自分たちで必死にアイデアを出し、行動力を発揮し、生き残っていかなければなりません。感染者数の再増加傾向が心配ですが、其々が自分の店の感染防止策を徹底し、粛々と営業していくしかありません。
 タリーズコーヒージャパンの創業者として知られていますが、過去急速に事業拡大してきた印象があります。
松田 10年で325店舗作りました。ただ、1店舗目を成功させるのは1年半ほどかかっています。創業時、私はシアトルからロゴだけを借りるカタチで日本1号店を作ったのです。タリーズコーヒーは現地での経営も不振で、当時28歳の日本の若者が訪ねても、本気でやるとはなかなか信じてもらえませんでした。残念ながら今、アメリカには1店舗もありません。

 なぜ、当時経営不振だった海外のカフェブランドに興味を持ったのですか。
松田 日本でこんなおいしい豆は買えなかったからです。タリーズコーヒーは世界中の農園と1軒ずつ契約して、焙煎にもこだわっていました。いまでは馴染みのあるスペシャルティコーヒーですが、当時の日本にはないものでした。

 資本が少ない中で、経営拡大して店舗展開できた理由は何ですか。
松田 当然、大手資本のスターバックスなどと同じやり方では太刀打ちできません。知恵を絞り全く違う戦略で広げました。1号店は銀座でしたが、その後はオフィスビルの中に、小さなカウンターのみで出店したり、病院、本屋、ショールームなど、クローズドマーケットを狙って出店を続けました。

亡くなった弟の分まで
人生を生きる


 病院に明るいカフェがある風景は、今は日常ですが、当時は斬新でした。
松田 実は当時、私には不治の病を宣告されていた入院中の弟がいたのです。彼に「きっと治る」と嘘をついて車いすを押し、薄暗い院内をよく散歩しました。弟に「退院したら何がしたい」と聞いたことがありました。私は東京ディズニーランドなどのアミューズメント施設や観光地の名前があがるかなと予測したのですが。彼は「マクドナルドへ行きたい」と(笑)。マクドナルドは私がアメリカに住んでいた頃にバイトしていて、思い出があったからなのですが、患者は意外と自分の暮らしの近くにあった当たり前の場所に行きたいのだなぁと。
 病院内への出店は、当時は前例がなく、利権の問題で難しいものでしたが、イノベイティブな志向があった東大病院内にオープンしたことをきっかけに、他の病院から「うちにも来てほしい」と誘致があり、その後の成功例をみて、他社も積極参入するようになりました。

新たな景色を探して
面白がる経営を実践


 飲食業というより新しい世界を切り開いていっているのですね。
松田 世界が変わると楽しいですよね。最近ではキッチンカー事業(グループ会社)も手掛けています。というのも、将来は自動運転でシェフを乗せたキッチンカーが郊外の公園などを走りまわる時代が来るようになると予測しているのです。
 2019年はクージューを立ち上げました。飲食店の課題を解決するシステムを開発していると。
松田 実はコロナ前からベンチャー企業と組みAIやデジタル技術を活用したシステム開発をしています。例えば、入店前に注文ができる「事前注文システム」ではスマートフォンやパソコンからオンラインで注文・決済し、指定した時間に店舗でテイクアウトができます。お客様にとっては店舗の滞在時間が少なくなりますので感染の心配も軽減できますし、店舗にとっては調理時間を可視化することで、効率的なオペレーションができます。次に店舗スタッフと接触することなく自席で注文可能な「テーブルオーダーシステム」。お客様が好きな席に着いたら、テーブルにあるQRコードを読み取り、そのままオンラインで注文・決済。店舗側は、これに応じて料理の提供ができ、非接触率が高くなります。また、カウンターで注文した客の動きを把握できる「カスタマートラッキングシステム」では、カウンターで注文したお客様にコイン状のデバイスを渡すことで、タブレット上でお客様がどの席に座っているかを確認でき、できたての料理を迷うことなく届けることができる。一般的なフードコートにある呼び出しベルと違い、お客様側が料理を取りに行く必要はありません。最後に完全非接触・自律対話が可能な「AIアバターレジ」です。店舗スタッフに代わってモニターに映るAIアバターが、お客様と会話してオーダーを聞き、会計までできるシステムで、タッチパネルでの注文ではなく、自然な対話を可能にしています。店舗スタッフがAIアバターに話しかけ学習させることによって、会話のみで注文までに至ることができ、現在はEggs'n Things Coffee御殿場プレミアム・アウトレット店にて導入しています。
 これらは、いずれも新型コロナの感染拡大を想定したものではなかったのですが、結果的に「新しい生活様式」にも適合するものとなりました。今後はお客様の趣味嗜好を把握した最適なサービス、ホスピタリティーを向上させるDXをすすめていきたいと考えています。

 

[ Column ]

非接触型『AIアバターレジ』とは

2021年2月、国内初、AIアバターとの対話によってオーダーを可能とする非接触型「AIアバターレジ」を、Eggs’n Things Coffee御殿場プレミアム・アウトレット店に設置。同システムはAIや次世代デバイス、RPA技術開発等を手掛けるウェルヴィルと共同開発したもので、モニターに映っているアバターと会話をすることで、タッチパネル操作の必要なく料理を注文。AIに店舗ごとに異なる応対を学習させることで、お客様ひとり一人に対して的確なおススメ提案をすることができます。

https://www.eggsnthingsjapan.com/news/210129.html
【お問い合わせ先】
EGGS ’N THINGS JAPAN株式会社
E-mail.pr@eggsnthingsjapan.com

[ Profile ]

松田 公太
クージュー株式会社 代表取締役 CEO
EGGS 'N THINGS JAPAN株式会社 代表取締役
元参議院議員
タリーズコーヒージャパン創業者
1968年生まれ。5歳〜高校卒業までの殆どを海外で過ごす。筑波大学卒業後、銀行員を経て97年にタリーズコーヒー日本1号店を創業。翌年タリーズコーヒージャパン(株)設立。2001年株式上場。320店舗超のチェーン店に育て上げ、07年、同社社長を退任。同年、世界経済フォーラムのヤンググローバルリーダーに選出。10年、参議院議員選挙で初当選。16年、議員任期満了後は、Eggs 'n Thingsの世界展開や自然エネルギー事業など精力的に活動中。19年、飲食チェーンの運営やシステム開発のため、クージュー株式会社を設立。上場企業含め、多くの企業の社外役員、アドバイザー、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会の顧問も務める。

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【クージュー株式会社】
東京都港区六本木7-2-29 2F
TEL.03-6721-0177
https://koojoo.co.jp

【EGGS 'N THINGS JAPAN株式会社】
東京都港区六本木7-2-29 2F
TEL.03-6447-0380
https://www.eggsnthingsjapan.com

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