株式会社ウインズアゲイン
コロナ禍のピンチでeスポーツに活路
ゲーム界の富士スピードウェイが好機
本物さながらのサーキットに
迫力の実況中継が響き渡る
藤波 サーキットを基盤に仕事をされているイベント会社と伺いました。
勝又 当社は『富士スピードウェイ』で開催されるイベントや、車両メーカーの試乗イベントを、企画から実行までサポートできる会社です。代表の私はアナウンサーで、イベント司会やレースの実況、ドライバーとのトークショーなどを開いていたのですが、そのうちステージ関連のスタッフが集結するようになり、幅を広げました。
藤波 しかし、コロナ禍で、イベント関連の事業は大変でしょう。
勝又 はい。2020年の春は仕事が止まりました。しかし、何か模索しないと、との考えから、富士スピードウェイと組み、新たな事業に参入しました。それはeスポーツです。『グランツーリスモ』というゲームは、リアルなレーシングドライバー体験ができると人気です。世界の主要な車やサーキット場が登場し、リアル空間さながらの風景を前にレースが開催されます。そのゲームを取り巻く巨大市場を活用し、イベントや実況中継をサポートしています。
藤波 ゲーム内に『富士スピードウェイ』も再現されているのですか。
勝又 はい。コースを寸分たがわず再現したサーキットとして、ユーザーに愛されております。車の性能もそのままセットされるので、レースは臨場感あふれるものです。リアルでシリーズ開催されている『富士チャンピオンレース』のeスポーツ版として「e-FCR」の開催を予定しており、私が実況中継を担当し、それらを番組として動画配信していきます。
藤波 アナウンサーも本物とはスゴイ!
プロが育つeスポーツの中から
明日のスターをスカウトする
藤波 参入する狙いは何ですか。
勝又 第一は人材発掘です。eモータースポーツは圧倒的にリアルに繋がるのが利点です。ゲーム空間には5歳からハンドルをとり、成績を残す若者たちが育っています。その若者たちはいつかリアルでも走りたいと夢見るのです。『グランツーリスモ』は、国内外のプロレーサーが初めてのサーキットに出場する時、シミュレーターとして練習するほどの機器で、ブレーキのポイントや重さなど、遠心力以外はほぼ同じです。ゲーム内で実力のある人は、実際のサーキットでも結果を出せます。
藤波 eスポーツの中で夢が育ち、未来の選手が育成されているということですね。
勝又 はい、実際にeスポーツ出身のプロレーサーが次々と輩出されておりますので、宝が眠るスカウトの場と言えます。また、ゲーム内には仮想経済があり、各企業も注目。バーチャルレースに対してスポンサーが出資する動きも増えています。
藤波 バーチャルとリアル経済が双方向で動いているのですね!
捉われず様々な仕掛けに挑戦
活性化するゲームマーケット
藤波 eスポーツを使って、他にどんな企画がなされているのですか。
勝又 例えば、私のYouTube番組『ともチェカTV』では、イベント動画を配信しています。最新内容は、富士スピードウェイのイメージガール同士が対戦するもので、リアルでは運転経験の少ない女性たちがゲーム内でレーサーになります。
藤波 動画や中継にも何か工夫を?
勝又 私がゲームの実況をする際は自分でカメラをスイッチングしながら、レースのストーリーを構成し、盛り上げていきます。自分で編集校正しながら喋る人は日本で私だけでしょうね(笑)。
藤波 勝又さんはリアルとバーチャルを交錯して仕事をする稀有な人ですね。
勝又 参入してまだ半年ですが、リアルを凌ぐビジネスに成長すると予想しています。我々としては、やはりバーチャルからリアルへの流入を作ることがビジネスの観点から重要です。今後も捉われることなく、可能性を探り、面白い企画を仕掛けたいです。
藤波 意外な世界に、驚きました!
[ Column ]
2020年前半、コロナ禍でサーキットは止まった。海外レースも中止、ドライバーは仕事がなくなり、イベント関係者も途方に暮れる中、勝又さんは「盛り上がっているらしい」との噂だけを頼りに、eスポーツ界に参入した。実際に入ってみると、マーケットの大きさや、リアル空間との親和性に驚いたという。今、eモータースポーツはめまぐるしく動いており、水面下で誰が先便をつけるかというビジネスレースも起こる。
[ Dragon Point ]
グランツーリスモを体験してみました!今のゲーム機ってこんなにすごいのかと衝撃!?実際にサーキットで走っている感覚とほぼ変わらない。ハンドルの重さ、ブレーキの堅さ…、現実とゲーム世界の境目が分からなくなりそうです!
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株式会社ウインズアゲイン
代表取締役 勝又 智也
静岡県駿東郡小山町棚頭773
http://www.wins-again.com
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