【アパホテル株式会社】
「女だから」を言い訳にしない
輝くライオンの社長になって

三度の飯より営業が好き 部下に背中を見せる
―経営に興味があったのですか。
元谷 望まれれば、挑戦したいと思っていました。私は今年で入社47年目を迎えますが、24年目に社長を拝命しました。当時の役職は営業本部長で、不動産のマンションプロジェクトに携わっていました。ホテル事業の営業強化の話もあって、抜擢されたのです。私は、三度の飯より営業が大好き。望むところでした。
―子供の頃からリーダー気質だったと。
元谷 中学1年生の時に生徒会の応援演説で人気者になり、残り2年間は生徒会の副会長をしていました。まだ、子供ですから人気投票のようなものですよね。目立つタイプだったのか、中学生時代の同級生で私のことを知らない生徒はいなかったと思いますよ(笑)。
―トップとして意識していることは。
元谷 社長が物事をどう考えるかで、会社の方針が変わります。私は週末に不動産事業の統括戦略本部長として営業の前線に立っています。やるからには必ず契約を取り付ける。生きている間は、第一線で営業をします。それが会社のためになると信じていますから。トップ自らが成果を見せ、部下に分けてあげるのが、やりがいです。
元谷家の主婦でもあり、社長でもあり続ける
―妻や母という役割もお持ちですが、社長としてどうバランスをとっていますか。
元谷 仕事は大好きですが、間違っていけないのは、私は元谷家の主婦であり、お母さんであるということです。この仕事は私しかできない。家に帰ったら、スイッチを切り替えます。夫とは同じ会社ですが、現場では、会わない日もたくさんあります。夫もまた、家にいれば子煩悩な家族を大切にする旦那様。会社では、創業家の代表として、誰よりも厳しく、仕事をします。経営者としての夫を尊敬しているので、仕事はやりやすいですね。
―女性の資質は、男性と異なるものがあると思いますか。
元谷女性らしく∞男性らしく≠ヘあると思います。女性は華やかに優しくつつんであげることができます。でも、成功するためには、「女だから」など、困難に理由を付けてはいけません。
アパでは3つのスローガンを社員と共有しています。「高い目標に日付を入れて持つ」「すべて自分のことと捉えて、絶対に人のせいにはしない」「楽天的に生きる」というものです。
私はどんなことに対しても「家族や夫がいるため」と言い訳することはありません。
―今までのキャリアで女性であることが障害になることはありましたか。
元谷 一切ありません。女性だと華やかだからという理由で、素敵な洋服を着ることもできました。1994年に、社長になってからは、プライドは帽子であらわそうと考えました。初期はびっくりするような花柄のワンピースを着て、「目立たなければならないな」と(笑)。社長になったおかげで、53歳にして大学にも通いました。リーダーとなると、実力を広げていかないといけません。仕事をしながら、家のことも手を抜かず、ほとんど完璧にやったと思っています。大学も毎日休まずに行き、悔いなく全力投球できました。社長としてのブランド力は自分で磨き、社員に背中を見せなければなりません。
―芙美子社長に憧れる、女性のリーダーも多いと思います。女性の企業家たちにエールをお願いします。
元谷 会社は社長で決まります。性別に関わらず、勇敢なライオンの社長になってください。自分がライオンになれば、社員をライオンにすることができます。羊の社長であれば、社員にライオンの資質があろうと、彼らは羊のままです。ライオンであることが社長としての矜持、社会に対する責任です。ですが、今回は女性の企業家特集ということで、あえて申し上げると、女性の社長は非常に恵まれていると思いますよ。世間は優しく、幾分守られています。若くてキレイであれば鬼に金棒(笑)。女ライオン社長として輝いてください。

アパホテル株式会社
取締役社長 元谷 芙美子
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profile
福井市生まれ。福井県立藤島高等学校卒業後、福井信用金庫に入社。22歳で結婚、翌1971年、夫である元谷外志雄氏が起業した信金開発株式会社(現アパ株式会社)の取締役に就任。1994年4月にアパホテル株式会社取締役社長に就任。2006年早稲田大学大学院公共経営研究科修士課程を修了し、2011年には博士課程を修了。現在、アパホテル株式会社取締役社長をはじめアパグループ14社の取締役。東京国際大学客員教授、日台文化協会理事。
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